幻の月をみていたような

8月32日にいる夢をみてた
ラボナの過量摂取をしようか
ふたりでプラトニックにいよう
明日も明後日も来年もきっと
8月32日には行けない
永遠の夏休みなんてない
雨が夏を拐っていくんだ
夏は流れていってしまう
神様のボートに乗らないで
風のない水際で見送っていようか
8月31日の夜にいる
あの子は死ねたのだろうか
振り返らない理由をわたしにして
帰ってこなくていい
巡るめく季節はなにも産まない
無機質の繰り返しの中では生きていけない
どうせふたりとも忘れていく
わたしたちには羽根がないから
遠くにはいけない
手を繋いでいることしかできない
大人になるのはこわい
しぬのはこわい
薬の空き瓶も煙草の空き箱も
窓から射す月の光も湿ったシーツも
甘ったるい安物の香水も漂うにおいも
通過電車に飛び込めば夢は醒めない
星にも月にもなれる
しぬのはいつでもできるから
きょうは早く寝てしまおうか